
つれづれなるままに・・・
2005年10月24日
一晩中赤いトタン屋根の常念小屋に落ちる雨音が気になる。
予報どおり、明日は雨なのだろうかと‥‥
10月15日朝、山小屋の食事を頂き、出発することにする。
雨合羽、ザックカバー、手袋、ポール、準備O.K。
やっぱり止まなかった。山小屋から見上げる常念岳は、天を突くピラミッドだ。頂上は霧の中。
昨日は、一の沢沿いに標高800mを登った。
常念小屋から常念岳山頂までは標高差約400m。(ビルにして130階)
一時間の登山となる。
大小の石ばかりの上を歩く。上を見上げる。下を見る。
だんだんと、赤い屋根が小さくなる。呼吸を整える。
そんなことを何度もくり返す。
九合目あたりには、這い松が地表に緑の絵を画がく。
どこからともなく、蛙とも、猫とも、鳥ともつかぬ、不思議な鳴き声がする。
目をこらすと雷鳥だった。
褐色であろう羽も、濃霧の中、黒色に見えたので、まるでパンダ模様の雷鳥だ。
すでに半分は冬の色になっている。
一定の距離を保ってこちらを見ている。
初めての遭遇に、しばし感嘆し、ながめるも、思いなおし、また頂上をめざし、登り始める。
もう一度、雷鳥を見たいと振り返ると、雌雄の間に小さな頭が二つ、安心したような、心配なような、眼でみんなでこちらを見ている。家族なのだ。
『しっかり歩きなさいよ。』と応援されているような気がした。
今は亡き、両親に見守られている心境だ。
空は全く見えない、深いガスの中、それはそれで、素晴らしい体験や、出会いがある。
頂上は一帖程の大きさの石が無数折り重なりあっている。
よじ登る。後方は崖。慎重に立つ。
数人しか立つことが出来ない位の広さだった。
この日の登山者は僅少。
小さな木の祠と、方位盤が設置されている。
360度無数の峰々が見えるであろう山頂にて、霧の中空想をめぐらす。
疲れは全然感じない。身体の重みも、ザックの重みも全然感じない。頭の中も爽やかで何の悩みも思い出せない。
全部が空気になったみたいに軽い。
うずまくガス、吹き荒れる強風、大輪の虹、刻々と変化する大自然の中を夫と登った。
「常念岳2857m」
二日後に私は65歳。
これがまさに誕生日の祝となった。
投稿者 souken : 2005年10月24日 13:21